中学の寄付金控除とふるさと納税マニュアル

お金関連

この記事は私立中学へ入学後、学校から依頼される寄付金の負担を少しでも減らしたい方向けのマニュアルです。それまでの受験戦争を切り抜け、ようやく掴んだ合格校から寄付金依頼があると、心理的にも「寄付したほうがいいかな…?」と思うのは十分ありうる事です。
この時、寄付金控除を使うとトータルの支出を抑えられるというのは聞いたことがあるかもしれませんが、税制度はなかなか馴染みがなく、どのように活用したらいいか分かりにくいというのが正直な感想でしょう。自分の場合もそうでした。
なので、自分の忘備録もかねて、寄付金を収める場合に役立つ情報をまとめました。このページの情報がこれから寄付金を行う方の参考になれば嬉しいです。

※このページの内容は自分が寄付金を納入する際に調べた個人的まとめであり、必ずしも全てのケースにおける効果を保証するものではありません。各家庭の課税状況に関してはケースバイケースで変わることがありますので、あくまで一例として参考にしてください。もしページ内の記載に誤りがありましたらフォームもしくはXアカウントへのメッセージなどで指摘頂けるとありがたいです。

最初に結論

  • 寄付金控除の種類には「寄付金控除」と「寄付金特別控除」があり、寄付先によって後者を選択出来る場合がある。寄付金特別控除を受けられる学校法人の場合場合、寄付金額の約40%が所得税から控除される
  • 住んでいる都府県、区によっては地方税の税額控除を受けられる場合があり、上記に加えて最大約10%の住民税控除を受ける事が出来る。
  • 寄付金控除とふるさと納税は併用可能、学校法人への寄付額はふるさと納税の控除上限額に影響しない。
  • 寄付金で控除を受けるためには確定申告が必要

寄付金控除を上手く使うと最大では寄付額の約50%が控除されます。

寄付金控除の基本

寄付金控除は所得税に対する控除となり、大きく下記の2つに分類できます。

  • 「寄付金控除」(所得控除)
  • 「寄付金特別控除」(税額控除)

寄付金特別控除は更にいくつかの控除に分類できるのですが、私立学校の場合は公益社団法人等寄附金特別控除額に該当します。(私立学校法第3条に規定する学校法人および同法64条第4項の規定により設立された法人)
寄付先によってどちらの控除かを選ぶことができるのですが、私立中学への寄付の場合は税額控除となる「寄付金特別控除」の方が一般的に控除額が大きくなりお得です。
所得控除と税額控除のどちらが有利になるかは、総所得額に対して寄付金額が極端に多いなどのケースを除き、課税所得のほうが所得税減少額が大きいです。
下記の開成中学の寄付金関連ページでは各控除の目安が掲載されており、例えば総所得600万円のケースを引用すると、下記の通りとなります。

  • 寄付金額が50万円の場合
    税額控除:143,125円 > 所得控除:99,600円
  • 寄付金額が100万円の場合
    税額控除:143,125円 < 所得控除:199,600円
  • 税額控除=所得控除となる寄付金額:717,625円

したがって、例えば20万円程度を寄付する場合には大体のケースで税額控除のほうが控除額が大きいことがわかります。

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ちなみに税額控除の場合の控除額は下記の計算式で計算されます、概ね寄付金額の4割弱が控除されると考えていいでしょう。

(寄付金額の合計額-2,000円)×40% = 控除額

税額控除は所得税額の25%が上限となります、もし同じ年に中学以外も併せて多くの寄付を行う場合には気をつけてください。

寄付金による住民税の控除

前項の寄付金控除は所得税の控除でしたが、住んでいる地域によっては住民税も控除される場合があります。控除となるには住んでいる都道府県・市区町村が条例で指定していることが必要で、同じ都道府県、市区町村の学校に進学する場合に適用されます。

総務省資料へのリンク
https://www.soumu.go.jp/main_content/000125496.pdf

例えば東京都に在住で都内の学校に寄付する場合、地方税(個人住民税所得割)の税額控除を追加で受けることができます。東京都の条例指定寄附金対象団体のうち文部科学省所轄の学校法人の一覧は下記リストから確認できます。

エラー 404 - 東京都オープンデータカタログサイト

都道府県・市区町村それぞれで指定されている学校に進学する場合、住民税の基本控除額は下記の式から算出されます。なお寄付金額の上限は前年の総所得金額等の30%が限度です。

(寄付金額-2,000円)×10%(特別区民税分6%、都民税分4%) = 住民税控除額

例えば港区にある普連土学園へ寄付を行う場合、住民税の控除額に関わる係数は下記の様になります。

  • 港区民が寄付した場合: 特別区民税分6%+都民税分4% = 10%
  • その他東京都民が寄付した場合: 都民税分4% = 4%
  • 東京都以外の方が寄付した場合:控除無し

所得税に対する寄付金控除と併せる事で、最大では寄付した金額に対して50%程の控除を得られます。数万円オーダーで変わってきますのでメリットは大きいですね。

ふるさと納税との併用

ふるさと納税も地方自治体への寄付となるため、中学校への寄付によってふるさと納税で寄付できる上限額が減るのではと気になるのではないでしょうか。結論を言うとふるさと納税と寄付金控除は併用でき、ふるさと納税の控除上限額には影響しません。ただし、寄付金控除の際に確定申告が必要になるので、併用する場合はワンストップ特例制度ではなく確定申告をする必要があります。ワンストップ特例制度を使う場合は寄付可能な寄付先の上限が5自治体までと制限されていますが、寄付金控除のため確定申告をする場合には、この縛りも無くなります。

寄付金控除を受けるためのポイント

寄付金控除を受けるためには寄付を行うタイミングも重要です。入学した年に寄付を行った場合、「入学と因果関係のある寄付」とみなされ、控除の対象にならないためです。そのため、入学した年の次の1月以降に寄付金を納める必要があります。

https://seiwa-group.or.jp/2022/03/01/%E7%A7%81%E7%AB%8B%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%85%A5%E5%AD%A6%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E5%AF%84%E4%BB%98%E9%87%91%E3%81%AF%E3%80%8C%E3%81%99%E3%81%90%E6%94%AF%E6%89%95%E3%82%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7/

寄付金控除の手続きでは税務署での確定申告が必要となります。寄付をした翌年の3月15日までに寄付金の受領証明書等を添付した確定申告が必要で、この手続きにより所得税の寄付金控除と住民税の寄付金控除の両方を受け取ることができます。この際、確定申告書の項目である「住民税に関する事項」の寄附金税額控除欄へ記入するように気を付けて下さい。未記入の場合、住民税の寄附金控除が受けられません。

まとめ

もう一度寄付金控除を受けるための手順をおさらいしましょう。

  • 学校への寄付金は入学した年でなく、次の年の1月以降に納入する
  • 寄付金納入時の受領証明書は確定申告で必要となるので取っておく
  • 寄付金の受領照明を添付して確定申告を行う

有効に活用すれば寄付金の負担額を低減できる制度です、確定申告は若干面倒ではありますがせっかくある制度なのでぜひ使うのを検討してみて下さい。

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